王の誕生

貴方は。
どれだけの夜を、過ごしたのだろう?
貴方の闇は。
どれだけの夜が、育んだのだろう?

羽根、が。
夜の闇に、彩られて。
染まる、染まる、染まって行くよ。
12枚の羽根が、漆黒に。

黒は、重いから。
深く深く、沈むから。
堕ちる、堕ちる、堕ちていく。
奈落の底へ、真っ逆さまに。

黒濁の沼の中。
もがく、もがく、もがき続ける。
それでも羽根は重過ぎて。
欠片も飛べる、気配無し。

其は。
光を掲げる者。
先頭に立ち、導く者。
けれど今は闇の底。
深く、深く、蠢くばかり。

やがて貴方は悟った。
飛べぬ羽根は、要らないと。
羽根をもいで、手足ももいで。
そうして貴方は蛇となった。
何より聡い、蛇となった。

光の代わりに狡猾を、
羽根の代わりに享楽を、
手に入れて。
そうして貴方は王となった。
闇なる眷属の、その王に。

だけど貴方は、孤独を愛でる。
永久に永遠に、虚空を愛でる。
果てなく広がるその闇に。
貴方は独り、君臨す。

いかに甘言紡いで。
愚者共を堕落させても。

夜を紡いで、王で在れ。
闇を奏でて、王で在れ。
虚無と怠惰と停滞と。
果てなき時間を茫洋と。

それでも貴方は、王で在れ。
独りであろうと、王で在れ。
貴方が願い、貴方が選んだ。
だから貴方は、王で在れ。
全き存在と、誰もが認めよう。
貴方は永遠に、王で在る。

神の礎、砕けても。
神のまほろば、滅んでも。

貴方の壊れる、その時まで。