悪戯な程に甘いKissを

「~♪」
 いかにも機嫌の良さそうな鼻歌。
 ヒョイ、っと覗き込む。
「カレー?」
「カレー♪」
 フフっ、と笑みが漏れる。
「美味しくできてると良いな」
「うんっ♪ 今日は自信あるんだぜー♪」
 可愛いな、と心底思う。
 無邪気の塊。
 真っ白な魂。
 思いのままに、そっと腰を引き寄せて、額に軽く口付ける。
「~!?」
 あたふたするさまが、また可愛い。
「な、な、な、何を急に…!」
「ククッ…可愛かったんで、つい、な」
「~~~///」
 言葉に詰まる相手を見て。
 思わず、どうからかってやろうかと、意地悪な考えが頭をよぎる。
 我ながら意地が悪いと思うが、愉しいのだから、仕方がない。
「…相棒」
「!?」
 跳ね上がりそうに、相棒が反応する。
 笑いをかみ殺して。相棒の目を覗き込む。
「…ほら……」
 わざと、ゆっくりと。
 目で、気配で、雰囲気で…
 ありとあらゆるもので、相棒を感じ、侵すように演出しながら…
「…っ…」
 気持ち、あとずさる相棒に、そっと。
「鍋、ちゃんと見ないと。まだ火にかけたままだろう?」
 悪戯っぽく笑うと、相棒は今度こそ沸騰しそうな勢いで、真っ赤になった。
「~~~っ!!!」
 思わず、声に出して笑ってしまう。
「かっ、からかうなんて酷いよ!」
「何の事だ?」
「~~~!!!」
「ふふっ…なんだ、期待したのか?」
 さも、そんなつもりはなかったが、という風に言うと。案の定。
「そ、そんな事ないもん!」
「そうか。それじゃあ、夜にゆっくり…な」
「!?!?!?」
 口をパクパクさせる相棒に、ダメ押しで。
「オレは、今でも良いんだけどな?」
「ぼ、ボクは良くない!」
「そうか。じゃあ、やっぱり夜か?」
「そ、それは…」
「クックッ…ほら、言ってみろ、相棒。大事な大事な相棒の希望だ…尊重しなきゃな」
「~~~///」
 遊びすぎたかな、と思いつつも、ダメ押しで。
「ほら、相棒…どっちが良い…?」
 鎖骨の近くに、ツイ、と指で触れると。
 ようやく諦めたように、相棒は。
「………夜………」
 俯いたまま、絞り出すような小さな声で、そっと、答えた。
 ああ。
 こういう素直な所が、本当に可愛いのだ。
「愉しみにしてる。…で、相棒。ほら、カレー」
 自分の事を棚に上げて言うと、相棒は。
 あたふたと、鍋を確認し始めた。
 笑いを堪えながら、オレは。
 ああ、平和だな、と。
 ああ、幸せだな、と。
 改めて、思った。

 願わくば。
 この穏やかな日が、明日も明後日もその次も、続くように……