HAPPY BIRTHDAY

 HAPPY BIRTHDAY、それは何の意味。
 HAPPY BIRTHDAY、それは何の言葉。

 それは時に魔法。それは時に呪縛。
 そして時に……



「何、見てるんだ?」
 ボウ、と、窓の外を眺めてる相棒に、そっと声を掛ける。
 振り向くと相棒は、照れたように、笑った。
「えへへ…月、綺麗だな、って…」
「月?」
「うん…ボクが生まれた日も、こんな風に月が綺麗だったのかな、って」
「クス…気になるのか」
「へへ、なんとなく、ね」
 その笑顔に、可愛いな、と純粋に思う。
 屈託のない笑顔に、オレはいつも、癒される。
「毎年、月が綺麗だと良いな」
「えへへ、そうだね」
「…ああ、そうだ。ほれ」
「え?」
「クス…バースディ・プレゼント…だ。誕生日、だろ?」
「…まさか、キミから貰えるとは思わなかったよ」
 一瞬キョトンとした後に、心底嬉しそうな顔をして、受け取る。
「クスクス…要らなかったか?」
「まさか!誰に貰うより、一番嬉しいよ!」
 焦ったように言う姿に、思わず笑いが漏れる。
 からかわれた、と気付いて、今度は不満気な顔。
 本当に、よく、表情が変わる。
 そんな所まで、可愛いのだけれど。
「あ…そういえば、キミも誕生日なんじゃないかな」
「ん?」
「だって、もう一人のボクなんだから。誕生日も一緒だよ」
「…それは考えた事、なかったな…」
 確かに、オレはオレの誕生日を知らないが。
「どうしよう…ボクだけ貰って、キミの分、用意してないや…」
「別にオレは気にしないんだけどな」
 落ち込む姿に苦笑しつつ、本心から言う。
 本当に…別に気にしてないんだが。
「うー、でも、なんか悪いよ。何かないかなあ…」
「クス…なら、相棒がプレゼントで良いぞ?」
 ニヤリ、と、笑みを浮かべて近付く。
「…え…?」
「相棒自身がプレゼント…オレにとっては最高のプレゼントだな」
 クスクスと笑いを零すと、相棒が戸惑いつつ、やや後ずさる。
「…嫌か?」
 態とらしく、視線で犯すと、白旗を上げた。
「…わ…解った…よ…」
「フフッ…」
 顎に手を掛けて、口付けを、落とす。
 永い夜の始まりに、祝福を。



 HAPPY BIRTHDAY、HAPPY BIRTHDAY、HAPPY BIRTHDAY。
 生まれてきてくれて、ありがとう。
 出会ってくれて、ありがとう。
 受け入れてくれて、ありがとう。
 一緒にいてくれて、ありがとう。

 沢山の感謝を込めて、祝福しよう。
 沢山の感謝を込めて、愛を伝えよう。
 この唇から、この指から、愛しさが全て伝わるように、願いながら…