麗しの花嫁 後編

『第三章 裁縫対決』



「さて皆さん、二次審査に入らせていただきます! 今度は『裁縫』!

 皆さんに服を作ってもらいます!」

「服か…貴様は何を作る気だ?」

「答える義務はないと思いますが?貴方こそ何を作る気です?」

「ふん…それこそ答える必要はないさ」

相変わらずなこの二人…それよりも服を作れるのか?こいつらは。

「タイプは問いません! ただし!!!

 服である以上、着る人に似合うかどうかが重要な問題です!

 そのため、今回の審査では、この会場にいる誰か…パートナーがいらっしゃればその方に、

 いなければ誰か適当な方に声をかけてください!

 いかにその方に似合う服を作れるかを競っていただきます!!!」

その言葉を聞いて、愕然となった二人。

「パートナー…だと?」

思わず睨み合うのも忘れて顔を見合わせる二人。

「くだらん事を…」

「じゃ、やめて帰ったらどうです?賞品はオレが貰ってあげますから」

「くっ…」

歯軋りする飛影。

無情にも始まりの合図がなった。

「チィッ!」

「ひどく、気が進まないんですけどね…」

舌打ちする飛影と、ため息をつく蔵馬。

二人が何処に向かったかは…明白であろう。



「おい! オレのパートナーになれ」

脅し口調で幽助に告げる飛影。

対して幽助はあくまでも平和である。

「何? プロポーズ?」

「…殺すぞ!」

冗談の通じないやつだな〜、などとぼやく幽助を、構わず攫って行く飛影。

そしてこちらは…

「桑原君。悪いですがパートナーになっていただきます」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。

 雪菜さんが来てるんだ。誤解されたらどうすんだよ」

「桑原君」

低い、声。

「来てもらいますよ」

こ、恐い…;;;

けれど、桑原の雪菜への思いもさしたるもの。

「け、けど…」

「来てくれないなら、もう勉強を教えてあげませんよ」

「た、頼むよぉ」

桑原の悲痛な叫びが響く。

哀れ、恋する男桑原。

鬼だな、蔵馬(笑)

フウ、と蔵馬がため息をつく。

「仕方ありませんねえ…じゃあ、取引しましょうか。

 協力してくれるなら、彼女についてオレの知っている事を一つ教える。これでどうです?」

にっこりと言う蔵馬。

桑原の返事は、想像出きるであろう。

「のったぁ!!!」

「決りですね」

こうして桑原も攫われる事に…(笑)

さて、どうなる事やら。



「…なあ…」

問いを発する幽助。

「ずっとこうしてジッとこうしてなきゃならないのかよ?」

「黙ってろ」

元来、ジッとしているのは性に合わない幽助である。

早くも嫌気がさしてきたらしい。

「う〜」

けれどもちろん、飛影は気にするはずがない。

このあと、幽助は3回ほど自分の不注意で針をさしてしまう事になる;



「こんなものですかね…」

丈の長さを調節しながら呟く蔵馬。

「あ!雪菜さんだ!!!」

雪菜を見ると反射的に動いてしまう桑原である。

もちろん、動かれると調節なんざ出きるはずがない。

「桑原君、動かないでくださいよ!」

「う…悪ぃ」

この後、繰り返す事数回…

蔵馬と飛影が共通して思ったのは、『城戸を連れてくればよかった』であった……



「全く…どうしてオレがこんな事をしなけりゃならんのだ…」

ぼやく飛影。

「いいじゃんか、楽しくて」

「何処がだ!」

怒鳴る飛影。幽助は相変わらず楽しそうである。

「いいだろ?たまにはこういうのも。少なくても、一人で空を見てるよりはいいと思うぞ」

答えず、作業を続ける飛影。

心なし顔が赤いのは、怒ってるせいかそれとも別にあるのか。

さて、時間終了。

飛影がつくったのは、Tシャツであった。

以外とこれが結構出来がよかったりする。

蔵馬が作ったのは、ロングコートであった。

これもなかなかに仕上がりはよかったようである。

けれど、何処となく気品が漂うというか…高級そうなそれは、桑原に『似合う』かというと問題で…

飛影が有利だったようである。

「やりますね…」

「フン。オレは何年も一人で過ごしてたんだ。服ぐらい作れるさ」

…の割に料理は見事なものだったと思うか?

さて、3次審査は何だ!?



『第四章 体力勝負』


さて、コンテストも前半が終り、休憩時間を満喫していた蔵馬と飛影…

「よく食うなぁ…」

よほどお腹がすいていたのか、雪菜(笑)の差し入れの弁当を驚くべきスピードで平らげている飛影に、幽助が呟く。

「どうしてそれで育たないんだろう…」

 ゴンッ!

幽助が、飛影に殴り倒される。

…それは禁句だろ、幽助(笑)

「いってぇ〜」

幽助が恨めしげにいうが、もちろん飛影が気にするわけがない。

「それにしても、随分と上手く化けてるよなぁ…」

呟いたのは、桑原である。

「変身草を使ったんだって?」

「ええ。珍しい植物なのであと2個しかないんですが…

 とりあえず、元のままではいろいろと問題がありましたからね」

「まあ、蔵馬の場合はそのままでも良かった気もするけどな」

 ゴンッ!

今度は蔵馬に殴られた幽助…口は災いの元だな(笑)

ていうか、レディーが人を殴っちゃいけません(笑)

「っ〜〜〜」

うめく幽助。同情の余地無し(笑)

「あの…お弁当、こぼれますよ?」

平和な、雪菜の声…お姉さん、強いね(笑)

「おっと。そろそろ時間じゃねえのか?」

「そうですね…そろそろ行きますか」

蔵馬が立ち上がる。

「じゃ」

さて、三次審査はどうなるのであろうか?


「さて、三次審査に入らせていただきます! 今回は、体力勝負です!

 いざとなった時には一家を背負わねばならないのですから、 やはりここは体力も必要でしょう!

 今回は障害物競争をしてもらいます!」

そう来たか。

直前に飯を食いまくっていた飛影、ピンチ!(笑)

係りの人が説明を始める。

紙をめくり、書かれている指示に従って進むらしい。

頭を使うらしいからこれは蔵馬に有利か?(笑)


さて、第三次審査開始!


最初の紙をめくった蔵馬…

(赤ん坊を背負って走れ!?何の意味があって…;)

見ると、紙には

『災害に見まわれました。お子さんを連れて逃げなければなりません』

とある。確かに不可思議なテストである;

仕方なしに次のポイントまで行って、赤ん坊を背負う蔵馬。

「何でこんな目に会わなきゃならないんだ…」

ご愁傷様。

というか本部、レディーにスカート姿で走らせるでない(笑)



さて、飛影の紙には…

『侵入者が忍び込んだもようです。金庫を持って逃げましょう』

それを見て呟いた飛影。

「? 何で逃げなきゃならないんだ? 俺だったら逃げずに侵入者を斬るぞ」

そういう問題ではない;

というかレディーにあるまじき言動だぞ?(笑)



さて、次のポイントについた蔵馬。

二枚目の紙には、

『米不足が起こりました。米を隠してる人を3人見つけだし、それを持って走りましょう』

とあった。

これは、かつての血が騒ぐか?蔵馬(笑)

かつての経験と勘によって、速攻で3人を見つけた蔵馬。

こんな問題を蔵馬に与えるとは…それとも運命の女神が蔵馬に一目ぼれでもしたのであろうか(笑)

いや、この場合男の神か?(爆)



さて、飛影であるが…こちらの紙には、

『宝石が盗まれました。宝石を隠している人を見つけ出して、それを持って走りましょう』

とあった。

「? 奪い返すだけか? これを書いたやつ、こんな事じゃなめられるぞ?」

…だからそういう問題ではないというに……;;;

飛影もまた邪眼の力を使って(笑)速攻で宝石を見つけ出した。

が、ここに一つ落とし穴。

係ではない一般人で宝石を持っている人を見つけたりしていたため…少々手間取ってしまった;

その後、税金の計算やら英文の訳やら、よく判らない問題が続いた。

蔵馬はそれらを余裕で解き、飛影は自分で解くのを諦めて邪眼を活用して蔵馬の答をカンニングし(爆笑)、

どうにか二人とも順調に(順調か?)進んでいった。



蔵馬が、最後のポイントにトップで着いた様だ!

流石、並の人間とは早さが違う(笑)

後はもうただ走るだけである。

このままトップでゴールできるか!?

! 影が近付く!

「先に行くぞ」

いきなり話しかけられて驚く蔵馬。

「早さでは負けん」

だんだん飛影が前へでていく。

が、蔵馬も必死で走る!

このまま、二人同時にゴールになるのか?



飛影がだんだん追い越す!

蔵馬、やはりロングワンピで走るのは無理があるぞ?

「ゴオォ〜〜〜ル!!!!!」

動きやすいひざ丈スカ−トには、流石に勝てなかったらしい。

結果は、飛影が一位で蔵馬が2位であった。

これで蔵馬は一勝2敗。

飛影が一歩リードしているが…さて?

次はいよいよ最終審査!!!

勝つのはどっちだ!?



『第五章 花嫁の資格』


さて、飛影に一歩リードされ、何としても勝ちたい蔵馬。

楽勝かと思いきや料理をさせられ裁縫をさせられ走らせられ…

一体次は何をさせる気だ?というのが心情である。

最終審査は、一体どうなるのであろうか?


「さて、いよいよ最終審査に入らせていただきます!

 今回は、水着姿にて美を競っていただきます!

 外見より内面とは申しましても、やはり美しいと嬉しいもの。

 ここは理想の花嫁ですから、美もまた審査したいと思います!」

この言葉に唖然となった者が二人……いや、3人。

「み、水着だと?」

「嘘、だろ……」

呆然と、二人が言い放つ。

そこまでやるか?大会本部(作者/爆)

「降りる!今度こそ降りてやる!!!」

「俺も今回は流石に遠慮したい…」

苦虫を噛み潰したような顔で呟く二人…同情を禁じえまい。

「では、着替え室の方へどうぞ!」

無情にも告げられた言葉……二人がギリッと唇を噛む。

どうする…思案にふける蔵馬。

まさか水着になるとは思わなかったため、便宜上、女に見えるようにはしているものの

体は男のそれのままなのである。

ワンピース程度ならともかく、水着には到底なれはしない。

加えて、変身草は残り一個である。

変身草の効果は1週間。

今の姿であれば、残っている変身草で元の姿に化ければ問題はない。

変身草には追加効果というものが無いからである。

何度追加使用したとしても、最後に使用した時から1週間後に、元の姿に戻るのである。

効果が切れた時に一個前の姿に戻る事は無い。

だからこそ蔵馬は変身草の使用に同意したのである。

今ここで変身草を使用するとなると、1週間女の姿で過ごさなくてはならない。

当然、家にも学校にも行けないわけである。

どうしよう…困り切る蔵馬。

(女装は絶対に嫌だ!いや、すでにさせられてるけど…

 この上1週間も女として過ごさなくちゃならないなんて、鳥肌がたつ。

 でも賞品は欲しい…いや、でも別に他にも方法は…

 けど、ここまで苦労していて今更やめるのも腹が立つし…

 でも水着は嫌だ!顔だけでなく体まで女に変えるなんて……)

蔵馬の思考が半恐慌状態に陥る。

…頭の回転が早過ぎるのも考え物だな、蔵馬(同情)

蔵馬の視界の端に、着替え室へ向う出場者達が入った。

瞬間、止まる思考。

「ええい!」

「あ?蔵馬!?」

反射的についていった蔵馬に、飛影が驚いて叫ぶ。

けれど流石に女装は嫌だという理性が勝ったらしい、飛影は蔵馬の消えていった戸口を睨むだけだった。



…さて、煌々しい美姫たちが惜しげもなくその肢体を曝している……

審査もようやく終り、会場中が誰が優勝かと固唾を飲んで見守っている。

「さて皆さん、お待たせしました!

これより、結果発表をさせていただきます!」

ここまでやったんだから優勝できなければ立場のない蔵馬、

憮然とした表情の飛影、その他…が、ゴクリと唾を飲む。

「優勝し、この賞品を手にする事のできる、栄えある『理想の花嫁』…それは…」

息苦しいような空間。顔がろくろっ首のように伸びて近付いていくような感じである。

最終審査が、告げられる!




「いません!」


…は?である。

会場中が事態を理解できずにシン、となる。

「説明させていただきます!

 これは、最終審査の結果によるものですが、最終審査では全員が不合格となりました。

 これは『理想』の花嫁を選び出すもの…

 花嫁にはやはり、初々しさ、恥じらいなどといったものを有していてほしいものです。

 最近は、レディーとしての自覚に欠ける方が多く見受けられます。

 そのため、この審査内容とさせていただきました。

 結果、ほぼ全員が即座に着替え室へと向いました。

 それが審査内容であると告げていたわけですし、その姿勢は誉めるべきかもしれません。

 けれどやはり、私達はもう少しレディーらしくあって欲しかったのです。

 蔵馬さんは最初嫌がっていましたが結局水着になったため失格、

 飛影さんは着替えはしませんでしたが蔵馬さんに置いて行かれた時に睨みつけたため、

 それもまたレディーにあるまじき行為として、失格にさせていただきました。

 その結果、優勝該当者不在、となったわけです」

「な…」

蔵馬の拳が震える。

「納得できるかぁ〜〜〜!!!!!」

司会者に詰め寄る蔵馬に、それに続くコンテスト参加者、ドサクサに紛れて賞品を盗んで行こうとする飛影…

舞台上がパニック状態になる。

さらに、騒ぎは舞台の方だけではなかった。

「す、素晴らしい…」

陶然とした表情で呟いて立ちあがる、コンテストを見に来ていた男性達。

「器用で美しくて力強い…まさに、理想の花嫁だ…」

蔵馬の元へと、男性達が流れ込む!

途端に嵐のような騒ぎに陥る会場。

「是非私と結婚してください!一生尽します!」

「いえ、是非私のところへ!絶対に苦労はさせません!」

「だ〜!五月蝿い五月蝿い!散れ!

 オレは大会の責任者に話があるんだ!!!」

「お願いします!私のところへお嫁さんとして…

 なんなら私が婿養子になってもいいですから!」

「散れ〜〜〜!!!!!

 責任者!俺は納得してないぞ!優勝者を再考しろ!」

飛び交うプロポーズの言葉に抗議の言葉に……この状態は、しばらく続いたという……



結局、優勝者は決ったのか、

そしてしっかりと花嫁修行を終えた蔵馬が花嫁となったのかは、定かではない。

ただ後日談として、このコンテストの賞品と同じ物がしばらくの後に闇ルートに出まわった事、

そして、このコンテストで誰が優勝するかを賭けて儲けようしていた幽助の企みが、

全員が蔵馬に賭けたための賭けの不成立という出来事によって、泡と消えた事だけを記しておこう……


騒がしく、そして恐ろしく平和な1日が過ぎようと、していた……

The end.