告白

ああ、蔵馬……
何故だ?何故、こんなにも気になるんだ?
俺は…あの髪に触れたいんだぁ〜〜〜!!!!!
ハッ。
も、もしやこれは恋か?
そうだ、そうに違いない。
待ってろ蔵馬!
絶対に想いを伝えてやるからな!!!

……ここに、帰宅途中の蔵馬を電信柱の影から監視している、ストーカーこと鴉が一人……
まだまだ山に帰る素振りはない。

「ふふふふふ……」
森の中で、鴉が不気味な笑い声をあげている。
草木も眠る丑三つ時……はっきり言って不気味である。
「蔵馬…これで俺の想いを伝えてやるぞ」
と言って手にするのは…藁人形である;
「しかし…何でこれで想いが伝わるんだ?
 胸の痛みを伝えるとかか?」
と自問自答する鴉。
どうやら勘違いしているか、騙されているらしい……
「まあ、飛影から買ったのだから大丈夫だろう」
…後者だったようだ。
というか飛影から買ったという時点で思いっきり信用ならんと思うが?
ていうか何故飛影が藁人形を売ってる?
「さて…始めるとするか」
鴉がおもむろに藁人形を打ち始める。
そのままやっちゃっていいのか?鴉。
「蔵馬ぁ、好きだぞ〜〜〜!!!」
森に藁人形を木に打ちつける音と、そして思いっきり方法を間違っている鴉の声が木霊する。

さてこちらは蔵馬…偶然森に散歩に来ていたらしい。
「い、ててて…」
急に胸が痛み出したようだ。
「何だ…?」
胸を見る…が何も見えない。
見えないならば仕方ない。
「まいっか♪ 死ぬわけじゃなさそうだ」
…それでいいのか?
ていうか何故そこで♪が?
余裕だね……
「蔵馬ぁ〜〜〜」
遠くから聞こえて来た声に、蔵馬がピクリと反応する。
「…誰だろ?」
とりあえず声のする方に行ってみる。
社の陰からピョコンと顔を出し…(基本は地面と並行に!)
「呼びました?」
と尋ねる先には……
当然ながら鴉である。
途端に固まる二人。
「く、蔵馬?早速効果が出たか!流石は十万円の藁人形!」
藁人形に人を呼び寄せる効果はないぞ?
ていうか十万円って高過ぎでは?
ていうか何故お前が金を持ってる?
「き…さまぁ〜〜〜」
突然蔵馬に詰め寄られて、二人の距離に喜びつつも動揺する鴉。
「何かさっきから胸が痛いと思えば!」
…結構平気そうにしてたが?
「俺に何の恨みがあって!」
胸倉を掴んで鴉を揺する…鴉は未だに状況が掴めていないらしい。
無反応の鴉――反応しないというより蔵馬が鴉を揺する力が強過ぎて反応できないでいるだけなのだが――に、蔵馬がキレた。
「っの!薔薇棘鞭刃!!!」
「うぎゃっ」
「ふう…」
髪を掻き揚げる蔵馬。
鴉は…まあ死んではいないだろう。
血だらけで倒れてはいるが(合掌)
「まったく……。
 で、どっちに行けばいいんだっけ?」
…どうやら道に迷っていたらしい。(蔵馬がか?)
「おっ」
見るとロープがある。
どうやら鴉が万が一に備えて森の外へと繋いでいたらしい。(何故ロープ?)
「ラッキー♪」
ロープを巻き取りつつ伝って行く蔵馬…まだ怒ってるらしい。

「痛…」
頭を抑えて鴉が起きあがる。
蔵馬にくらった薔薇棘鞭刃の傷の他に、胸に痛みが。
「何で胸が痛いんだ…?」
ギュッと抑える。
「そういえば人に見られると自分に来るとか何とか……
 って事はこれは蔵馬の胸の痛み!?」
単に呪いがはねかえっただけだと思うが……
「蔵馬! やっぱり俺達は結ばれるべきなんだ!」
夕日…こそ見えないものの空に向って鴉が高らかに叫ぶ。
「待ってろよ蔵馬!!!」
いやはや、その心意気だけは御立派。
「ところで……」
キョロキョロと見回すと藁人形も、そしてロープも無かったりする。
「!!!???」
呆然とする鴉。
「ぬう…誰かの陰謀か!?」
…別にこんなちゃちな陰謀などやらんと思うぞ?
「くそっ!俺は諦めんぞ!!!」
…せいぜい頑張ってくれたまえ。


後日談。

鴉「何かいいのはないか?」
飛影「いっその事一服持ってしまったらどうだ?」
鴉「いくらだ?」
飛影「眠り薬なら20万、痺れ薬なら30万、媚薬なら40万だ。
   ちなみに毒薬は100万からだぞ」
鴉「媚薬が欲しいが、あとで銀行強盗でもするって事でダメか?」
飛影「ダメだ。現金のみ、分割もお断りだ」
鴉「じゃあ今からその辺で集めて来るから取り置きしててくれ」
飛影「1時間しか待たんぞ」
鴉「短過ぎないか?」
飛影「急げば大丈夫だろ。…あと59分だ」

……一体どちらがより問題であろう。
案外、蔵馬こそが罪なのかもしれない。