Birthday Present

窓を開ける音で、目が覚めた。

慣れた気配だ。

とうに時計の針は12時を回っていたが、警戒する相手ではなかった。

「飛影」

声が自然、嬉しそうな響きを宿す。

「来てくれたんだ」

言って歩き出す。彼に向かって。

「蔵馬」

「んっ…」

突然のキスに驚きつつも嬉しさを隠せず、応える。

その反応に飛影がクスリと笑った。

「今日は土産を持ってきてやったぞ」

「え?」

驚いて、聞き返す。

俺に飛影がプレゼント?

「ほら」

彼が小さな箱を放ってよこした。

「これ…もしかして誕生日プレゼント?」

思わず破顔して言う。

「気紛れだ」

「気紛れでも、嬉しいよ」

にっこりと笑って、言う。

「開けてもいい?」

「好きにしろ」

冷たいとも取れる飛影の言葉に微笑み、箱を開ける。

それが開けてもいいという意味だと知っていたので。

「…! これ……」

「綺麗だろう? 腕のいい職人の磨いた、上等の翡翠だ。

 ちょっとしたつてで手に入れた」

飛影の言葉どおり、それは美しかった。

彼のいうつてが何であるかは…何となし予想できたが、追及はするまい。

言っても、気を悪くさせるだけだ。

折角のプレゼント、ここは素直に喜んでおこう。

「ありがとう…でも俺、穴開けてないよ」

そう…プレゼントはピアスだったのだ。

言うと飛影はスッと箱に近付き、ピアスに手を伸ばした。

「飛影…?」

気を悪くしたのだろうか。

不安に思って、問う。

「目を閉じてろ」

その言葉で、飛影の意図はすぐに知れた。

あまり当たってほしくはない予想だったけれど。

けれど彼の性格をよく知るからこそ…ギュッと強く目を閉じる。

「つっ」

一瞬の、けれど鈍く尾を引く鋭い痛みに、声が洩れる。

間を空けずに再び同じ痛みが襲った。

「ほら、これでいい」

そう言って飛影がにっと微笑む。

穿たれた耳朶が、熱い。

「…何もこんな手荒な方法を取らなくても……」

ズキズキと痛む耳に手を添えて、少しだけ抗議する。

ピアスが僅かに、重かった。

「腹を貫かれるよりはマシだろ」

「〜〜〜」

それはそうだけど。

思いはしたが言っても飛影には無駄だろう。

仕方なく、苦笑交じりの笑みを乗せる。

「ありがとう、飛影。大事にするよ」

「ふん……」

照れているのだろうか、そっぽを向いている飛影に思わず微笑む。

と、突然に引き寄せられた。

「嬉しかったのなら、お礼を貰おうか」

応える間も無く、押し倒される。

目が合うと、飛影がにっと笑った。

皮肉気な笑みの、けれど愛しいその人を見つめて。

「うん……」

そっと口にして、目を閉じた。