White Day Carnival

ピンポーン。

チャイムが鳴る。

その音に起こされた飛影は、かなり不機嫌な顔で玄関に出ていった。

今朝は蔵馬がいないからである。

本当は無視したいところだったが、あとで蔵馬に怒られそうだったし、

チャイムがすぐに鳴りやむ保証のない事を考えれば……

まあ、正しい判断と言えよう。


「何だ、これは……」

玄関に出ると、宅急便であった。

荷物を引き取って部屋に持ってきた飛影の呟いた言葉が、これである。

その荷物は結構大きくて、その上重かった。

「とりあえず開けてみるか……」

ベリベリと裂いて、箱を開ける。

と、中には綺麗な袋が入っていた。

その、いきなり袋が動き出す。

ビックゥ!

思わず怯えて後ずさる飛影。

そこへ、袋の紐がほどけて蔵馬出現!!!

しかも妙なポーズを作っている。

キラキラとその回りが輝いて見えるのは気のせいか。

固まる飛影。

蔵馬もそのままの格好で止まっている。

と、飛影が光のごとき速さで蔵馬を元通り袋に詰め、

箱を閉じ直した。


――飛影は無かった事にした――


ドクドクと早鐘を打つ胸に手を当て、息をつく飛影。

そこへ今度はダンボールを破って蔵馬再臨!!!!!

「どゎぁっ!」

飛影は本能的な恐怖にか、いきなり黒龍を呼び出した!


――飛影は全てを闇に葬った――


「ナレーション五月蝿い」


――…飛影は葬り切れなかったようだ……――


蔵馬が薔薇を取りだし、スッと右腕を伸ばす。

と、黒龍はそれに呑まれた。

「んもう、つれないなあ」

「き、き、貴様、何故……」

余りの事に上手く言えない飛影に、

蔵馬はトン、と身軽にテーブルの上から飛影の元へ飛び降りると、

ギュッと抱きしめた。

それに飛影は今度は蔵馬の頭に剣を突き刺した。

噴水のように血が出る。

「いったいなあ。こーゆう物騒なものは捨てようね」

何事もなかったかのように平然と言うと蔵馬は剣を抜き、

針金でも折るかのように、中指を支点に人差し指と薬指で剣を折って捨てた。

「き、貴様本当に(体は)人間か?」

「あったりまえでしょうがぁ。どこからどう見ても人間でしょぉ?」

そう言って飛影に口付ける。

「何を考えてるんだ一体」

「ヴァレンタインのお返しにオレをプレゼントしようとしただけでしょう?」

「いらんわ!」

「あ、そう? じゃあ飛影がプレゼントになってね」

言うが早いか、何処からか取り出した真っ赤なリボンを飛影につけようとする蔵馬。

「やめろ〜〜〜!!!」

飛影の絶叫が、部屋に響いた。


もちろんその後無事にプレゼントを手に入れた蔵馬が、

美味しく食べさせてもらった事は言うまでもないだろう……


The end.