世界が凝るから

世界が、凍り付く。
全てを閉じ込めて、白が冷たく覆う。

…寒い。

凍り付く夜は、淋しさが人を呼ぶから。
理由のない哀しさが貴方を呼ぶから。
透明な手に優しく撫でなれて。
貴方の元へと、引き寄せられる……。



窓を開けて。
入り込む、この世界でたった一つ、暖かな場所へ。
                     優しい場所へ。

部屋の主が、ふわりと微笑む。
声は掛けない。
変わりに主は口付けで歓迎を示す。
「蔵馬、夜が凍えてる」
俺はそっと訴えた。
「心が、寒いと言ってるんだ」
だから暖めて。

蔵馬は、何も言わない。
けれど、抱きしめる腕が、その暖かさが、俺を安心させる。

哀しさに凝った世界が。
冷たく凍り付いた身体が。
緩やかに、穏やかに、溶けていく……

蔵馬だけが、この世界を
        この身体を
          暖めれるのだ。

蔵馬がいなかったら。
きっと永遠に春は来ないに違いない。

蔵馬の胸の鼓動に耳を澄ます。
それはまるで子守唄のよう。
あやす様に髪を撫でる蔵馬の手が、気持ち良い。
ウトウトしてくる。

蔵馬がいるだけで。
こんなにも安心する。
こんなにも、温かい。

蔵馬はきっと太陽。俺はひまわり。
どれほど時が過ぎようと、きっとこうして眠るのだろう、俺は。
永遠に約束された未来だと信じて……
俺は夢を捕える。

end