即興詩 †お伽草子†

 不思議の国の夜が来る
 お伽の国の夜が来る
 お喋り蛇が騒ぎだし
 森の梢が息を付く

 軋んだ歯車回しましょう
 壊れた時を紡ぎましょう
 狂った世界彩って
 歪んだ夜に踊りましょう

 野苺を食べりゃあ夢の中
 石榴を食べりゃあ水の中
 林檎を食べりゃあ雲の上
 葡萄を食べりゃあ山の上

 柊達が躍りだし
 薔薇は優雅にお茶会を
 杉は丹念に身繕い
 銀杏はこっそりかくれんぼ

 蔓はズルズル伸び続け
 イバラの迷路に誘い込む
 世界はグルグル回りだし
 まるで不思議な万華鏡

 鼠を乗せた梟が
 そっと欠伸を噛み殺す頃
 歯車そろそろ疲れだし
 ゆるりと動きもにぶりだす

 世界を包むびろぅどの
 端から光が漏れ始め
 木々達ゾロゾロ帰途に付き
 終わりをそっと偲ばせる

 不思議の国の夜が明ける
 お伽の国の夜が終わる
 不思議の影はなり潜め
 時が再び流れ出す