即興詩 †その背に天使の羽を†

別に、今この時死んでしまったとしても、構わない。
今この時、知人が死んだと聞いても、関係ない。
空虚な生を。
空虚な心で。
空虚な時を。
モノクロの世界で。
生きるのではなく。
ただ そこに『いる』。
現実は。
夢のよう。
いい加減で虚ろな世界。
死に直面した時、人は。
『生きたい』と言う。
この世界にしがみつく理由は何だろう?
私はきっと。
『生きたい』なんて言わない。
言うとしたら。
それは多分『死にたくない』。
死は、苦だから。
苦しいのは嫌。
辛いのは嫌。
だから。
眠りと結びつく死なら。
きっと今この時にでも受け入れられる。
心残りなんて、何も無い。
言っておきたい事。
やっておきたい事。
そんなものは。ない。
別に、死にたがっているわけではないけれど。
ただ、死にそうになれば死ぬし、
死ななそうなら死なない。
ただ、それだけの。事。
今を、無理に変えようなんて思わない。
ただ、流されていく。
体だけが生きている、そんな感じで。

子供の頃、人は。その背に天使の羽を持っていた。
何処にでも行ける、何にでもなれる、無限の可能性――
けれど。
一つ時を数えるごとに、それは。
沢山の様々なモノによってもがれていって。
そのうちに心も、沢山の欠片になってしまったんだ。
子供は純粋な、天使のような心を持っている。
誰かが言ってた。
そんなの嘘。
私達、子供の時分から汚れてる。
黒いものから白いものなど、生まれはしない。
私達、子供の時分から汚いものを知ってる。
それに、反発人もいるけれど。
そんな事、してもどうなるわけでもない。
黒ければ黒いなりに、白ければ白いなりに、やっていくだけの事。
所詮、綺麗なままではいられない。
綺麗過ぎる水に、魚は住めない。
そんな意味の事を詠んだ人が、いた。
実際、その通りなのだ。
それを悲しく思わないわけではないけれど。
別に、思ってみてもどうなるわけではないから。
ただ そのままで時を紡いでいる。

その背に残った羽の残りは。
あまりに白くて。
時々 痛みを訴える。
羽が、残っていたならば。
それとも、全部なくなってしまえば。
まだどうにかなるのだろうに…