即興詩 †定規†

定規を腕に押しつけて
さっと引っかいてみる
腕に紅い線が走り
少女はうっすらと微笑んで
そしてまた引っ掻く

だけどそれはとても薄くて
ずっと残ってる訳じゃない
少女はだからまた引っ掻く
もっと強く もっと鋭く

そのうちに腕の全てがピリピリと
疼き出す 微かな熱で持って
腕に浮かんだいくつもの跡に
ようやく少女は満足げに目を細める

だけどそのミミズ腫れのような跡は
やっぱりそのうち消えてしまうのだ
少女は怒って定規を床に投げつける
けれど一時もしないうちにそれを拾い上げるのだ

だけど今度は引っ掻く事はしない
ただ手でくるくると回すだけ
意味もなく

カッターで先を削ろうか
別の定規を買ってこようか
そんな事を意識の片隅で思いながら……

くるくる回る定規の向こうで
ゆるやかに ゆるやかに
時は過ぎていく……